レンコールトレランスリングは精密ばね鋼部品で、波形状を成型された薄いストリップから成り、その波のひとつひとつがばねとして機能します。このストリップがリング状に丸められています。
トレランスリングを形成する波の弾性限界内で、シンプルなばね理論が適用されます。すなわち力(N)は ーー F = K · c
Kに影響を及ぼす要因としては、材料のヤング率や厚さ、波のピッチ、幅、肩部形状、頂部や底部のRの大きさ、プラニッシュの幅等の細かい仕様が挙げられます。
これらのうち、所定の波形で、主要な要素となるのが材料の厚みと波のピッチです。
つまりばね定数(kNmm-1)は次の式で得られます:K = a · E · w · t/p3
3乗の関係により、非常に広範にばね剛性を設計することが可能です。 形成された波の複雑な形状と数が、非常に高いばね剛性と反発力、剛性の高い構造をもたらします。
またFEAや実験による調査から、波の肩部がリング剛性に主に寄与していることがわかっています。 これこそが、複数の波列を持つリングが、高トルク用途でしばしば使用される理由の1つです。
ダミーの相手部品を用いた試験では、波を2列配置したリングが、同じ寸法の単列リングに対し1.7倍のトルクを達成しました。
リングは、複雑な波形状、材料の厚さ、硬度などを変化させることによって、それぞれの用途に応じて、適切なばね定数、つまり要求の保持力やスリップトルクを達成するべく設計されます。ラジアル荷重(N)は次の式で求められます: FR = n · c · K
軸方向の組みつけ力(N)は次の式で求められます: A = FR · μ
トルク(Nm)は次の式で求められます: T = FA · d/2