トレランスリングはすばやく組み立てられますが、そのためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。トレランスリングは、SVとHVのそれぞれのタイプによって、組み立て方が若干異なります。
SVタイプのトレランスリングは、自由状態では通常閉じているので、シャフトに取り付けたときに外周に対して自己保持することができます。このリングは、外側に波があり、先にシャフトに取り付けられ、ハウジングの内周によって圧縮されます。
1. トレランスリングの両端を開き、シャフトに装着します。このとき、リングが軸にぴったりと収まるように注意してください。
シャフトに段差がない場合は、ハウジング内径をシャフト/トレランスリング組み立て品に組み付けるときに、トレランスリングが所定の位置からずれないように、一時的な補助ストッパーを使用する必要があります。
2. シャフトとトレランスリングの組み立て品を、ハウジングと一緒に組立プレス用の治具に入れます。オス部品とメス部品を同軸上に、かつ直角に保持するためには、何らかの固定具が必要です。
3. 油圧プレスなどを使って均一で安定した力を加え、ハウジング部品をトレランスリングに完全に固定します。続いて組立補助具を取り除きます。
HVタイプのトレランスリングは、自由状態では大きく開いているので、ハウジング穴内に取り付けたときに内周に対し自己保持することができます。このリングは、内側に波形があり、最初にハウジングに収まり、相手シャフトの外径によって圧縮されます。
1. リングの両端をつまんでハウジングの穴に挿入します。このとき、リングがハウジングの内径にぴったりと収まるように注意してください。
ハウジングの内径に段差がない場合は、シャフトやベアリングなどのオス部品を挿入したときにリングがずれないように、リングを軸方向に固定するストッパーを使用する必要があります。
2. ハウジングとリングの組立品とオス部品を組立用のプレス機にセットします。オス部品とメス部品を同軸上に保持するために治具が必要です。
3. 油圧プレスなどを用いて、均一で安定した力を加え、オス部品をハウジング/トレランスリング組み立て品に完全に固定します。この際、必要に応じて治具を使用することで要求される同心度を確保します。
トレランスリングは、一度組み立てシステムをセットアップすれば、他の組立方法に比べて工程効率の面で大きなメリットがあります。しかし、これまでにトレランスリングを使用したことがない場合は、お客様の生産ラインでどのようにトレランスリングを組み立てるかについて、私たちにご相談いただくのがよいでしょう。お客様がトレランスリングを最大限に活用して組み立てられるように、治具の設計のお手伝いや組み立て方法のアドバイス、さらにはお客様の現場にお邪魔してお手伝いさせていただくことも可能です。お気軽にご相談ください。