製造における寸法公差やばらつきの問題には、多くのお客様が日々直面しています。お客様のシステムが一貫して動作するよう、サンゴバンのエンジニアが懸命に取り組んでいるのはそのためです。累積公差で最悪のケースとなるのが、ハウジングとシャフトのノミナル値が等しく、その公差範囲におけるばらつきの正負が逆であるときです ー シンプルに言えば、ハウジング内径が最小値で、シャフト直径が最大値であるときが一例です。この場合、通常は過度のトルクにつながりますし、またもう一方、ハウジング内径が大きい方向に、シャフト外径が小さい方向に振れた場合には、要求値に対してトルクが低すぎたり、あるいはまったくのゼロになってしまうこともあり得ます。
PTFEブッシュがシャフトとハウジングの間にある場合、ハウジングに挿入されたブッシュの内径公差には、ハウジングの内径公差と同値に加え、ブッシュの肉厚公差の2倍が加算されます。これにより、システム内の3つ目の要素が累積公差に加わることになります。
ノルグライドPTFEブッシュは、サイジング加工との組み合わせで、この問題を最小限に抑えることができます。サイジングとは、図1に示されるように、サイジングピンと呼ばれる工具を使用したPTFEブッシュ取り付け後の内径の補正であり、ベアリング材料を任意の値に塑性的に変形させる工法です。その結果、ブッシュの内径の寸法公差を、ハウジング単体のときと比べてもさらに改善することができます。
ただし、このプロセスはすべてのPTFEブッシュに有効なわけではありません。ノルグライドSM、SMALC、MおよびMPといった、PTFEコンパウンドテープ内にストレッチドメタルまたはメッシュを持ったタイプのブッシュが、この層の塑性変形を可能にすることでサイジングプロセスを効果的にします。図2は、ノルグライドSMブッシュについて、サイジングピンの外径によってサイジング後の内径を制御できることを示しています。実現可能なサイジングの程度は、材料の剛性によって異なります。塑性変形可能な層の厚さによって、肉厚減少には限界があることを考慮してください。だからこそ、お客様と緊密に連携して初期の問題をきちんと理解することが重要であり、その結果、効果的なカスタムメイドソリューションを提供することができるようになります。