ノルグライドベアリングの摺動層は、用途や使い方に合わせて様々なPTFEコンパウンドのラインナップを用意しており、一つ一つのコンパウンドもそれぞれ重要な役割を果たしています。
PTFE自体は柔らかく、電気絶縁材、固体の中で最も摩擦係数が小さいという特徴を持っています。
他の高機能材料に対するPTFEの優位性
添加剤を添加することで、PTFEの優れた摩擦特性を維持しながら、クリープや電気伝導性などの特性を最適化することができます。また、PTFE成分を安定させることで高い耐摩耗性を獲得できます。
ノルグライドに使用されているコンパウンドは全て自社で製造され、用途や使い方に合わせてお客様に提案を行っています。ここではコンパウンドの一部を紹介します。
Glass graphite (GG)
ノルグライドMP用に開発されたグラスファイバーを配合した材料。その特殊な形状により、耐荷重性を向上させ、摩耗やクリープを低減しています。また、カーボンを改良したグラファイトと組み合わせることで、初期摩耗を最小限に抑えることができます。
Glass fiber / graphite / Conductive (GC)
GCコンパウンドもまた、ノルグライドMP専用のコンパウンドです。GGコンパウンドと同様にグラスファイバーを組み合わせたもので、耐荷重性の向上、摩耗やクリープの低減、初期摩耗を最小限に抑えています。GCコンパウンドは導電性顔料を使用することにより導電性を向上させています。
Carbon / graphite (CG)
このPTFEコンパウンドにはカーボンが使用されており、グラスファイバーと同様に耐荷重の向上、摩耗やクリープの低減などの機能を果たしています。これに加え、CGコンパウンドは相手部品の摺動面に対する摩耗性が低いという特徴があります。さらに、初期摩耗を最小限に抑えるグラファイトも使用されています。
Carbon, conductive (C)
このコンパウンドにもグラスファイバーと同様の機能を持つカーボンが使用されています。カーボンはグラスファイバーと同様の機能を持ちながらも、相手の表面に対する摩耗が少ない、耐荷重性を向上させる、摩耗やクリープを低減するという特徴があります。さらに、グラファイトを使用することで初期摩耗を最小限に抑えています。 このPTFEコンパウンドはカーボンファイバーによって導電性を確保しており、通電性が必要な製品や電着塗装を行う製品で多く用いられています。
Glass fiber / pigment (LR)
グラスファイバーを添加剤として使用したPTFEコンパウンドで、耐荷重性を高め、摩耗やクリープを低減しています。また、この材料は着色のために赤色の顔料を加えております。非導電性材料で、特殊な加工を施すことによって電着塗装に必要な導電性を確保しつつ、ベアリング表面への塗料の付着を防ぐことで塗装品質の向上や異物の付着に伴うリワークの工数を低減します。
Ekonol® (E)
Ekonol®は、特殊な芳香族ポリエステルで、摩擦係数を下げながら耐摩耗性を向上させます。このPTFEコンパウンドは高速摺動の用途や、樹脂などの柔らかい相手部品との摺動に用いられます。
Ekonol® / graphit (EG)
Ekonol®の優れた耐摩耗性とグラファイトの低初期摩耗性を兼ね備えたコンパウンドです。カーボングラファイトコンパウンド(CG)に比べて導電性が低いのが特徴です。
適切なPTFEコンパウンドを選択することにより、ベアリングに導電性を持たせることができますが、実際の抵抗値はベアリングとシャフト間の接触面の状態、接触面積、ベアリングへの荷重、材料の厚みなども影響を与えます。
非導電性コンパウンドは電着塗装を行う製品用途に開発されたPTFEコンパウンドで、ベアリング表面への塗料の付着を防ぐことで塗装品質の向上や異物の付着に伴うリワークの工数を低減します。
ハウジングからベアリングを通してシャフトに電流を流したり、逆にシャフトからハウジングに電流を流したりする必要がある用途があります。例えば、自動車のサイドドアやボンネット、テールゲートのヒンジなどがそうです。
このような場合、ノルグライドベアリングには導電性PTFEコンパウンドを使用することができます。これにより、従来は2つの部品を電気的に接続するために余分な配線や部品が必要でしたが、導電性を持ったベアリングを使用することによってそれらを省き、コスト削減や省スペース化、小型化を実現することができます。これらとは逆に、用途によっては、2つの嵌合部品の間に高いレベルの電気抵抗を必要とする場合があります。その場合は、非導電性コンパウンドであるLRとEを使用することができます。非導電性のPTFE層を必要としながらも、電着塗装などで部品間に電流を流す必要がある場合は、ベアリングにノッチ加工などを施すことによって導電性を確保することができます。
電着塗装ソリューションについて詳しく知りたい場合:
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