当社のエンジニアは、業界が指摘する問題を克服するためのソリューションに取り組み、ノルグライド・ストラットベアリング・ソリューションを開発しました。お客様のご要望に基づきカスタム設計されたこの製品は、プラスチックと当社独自のノルグライド・ PTFEスライドパッド技術を使用して作られており、3つの主要なうれしさを提供します。
広範囲の荷重、温度変化に対応
転がり軸受に比べ、部品の高さや幅が小さいため、設計の自由度が高く、従来のソリューションに比べてシステムコストを削減することができます。ノルグライド・テクノロジーは、現在のシステムパッケージングに組み込むことができ、簡単な置き換えが可能です。
厚いPTFE層が、スティックスリップやシステムのガタつきの問題を排除します。
サスペンションストラットベアリング(トップマウントベアリング、アキシャルベアリング、スラストベアリングとも呼ばれる)は、車のハンドリングや乗り心地に影響を与えるサスペンションシステムの重要な部品です。
なぜ?まず、サスペンションストラットについて説明しましょう。サスペンションストラットは、車軸と車体をつなぐもので、サスペンションスプリングコイルとダンパーで構成されています。
車が路面の凹凸や湾曲を乗り越えるとき、サスペンションコイルがその衝撃を吸収し、ショックアブソーバがその動きを減衰させます。サスペンションストラットの役割は、路面や車輪から発生するNVHを車体から遮断し、ドライバーや同乗者の快適なドライブをサポートすることです。
サスペンションストラットに使用されるベアリングは、従来は転がり軸受が主流です。また現在では樹脂製滑り軸受が代替品として広まりつつあります。しかし、どちらのソリューションも完璧ではなく、何らかの妥協が必要です。業界の専門家がサスペンションストラットベアリングに求めるもの、導入されつつある変化、将来の展望を理解することは、その妥協点を取り除くソリューションを開発する上で中心的な役割を果たします。ブログ「サスペンションストラットとは」では、このテーマに関する市場調査や専門家へのインタビュー結果を紹介しています。ノルグライド・サスペンションストラットの開発は、この市場調査から始まりました。
ノルグライド・サスペンションストラットは、お客様の期待に応え、サスペンションシステムのエンジニアのニーズを満たすために、完全なサブシステムとして提供されます。ベアリングはサスペンションストラットサブシステムの主要部品であり、サブシステムに課せられた要求に耐え、要求性能を満たす必要があります。ベアリングの動作を保証するために、完全なサブアッセンブリを提供することは理にかなっています。サブシステム全体はカスタム設計が可能であり、個々の機能を車両のニーズに合わせて調整することができ、さらに組み立てが容易であるという利点もあります。ノルグライド・サスペンションストラットは、グリースの使用有無を選択することができます。グリースを使用する場合、漏れ防止のためにロックシールが追加されます。
ノルグライド・サスペンションストラットベアリングの証明
現在、主な解決策として、転がり軸受と滑り軸受の2つがあります。どちらも長所と短所があり(サスペンションストラットのブログで紹介しています)、どちらかを選択する場合、寿命性能や温度安定性で妥協することになります。
ノルグライド・サスペンションストラットは、すべての設計事項を考慮した場合、より優れたソリューションとなります。荷重、温度、寿命について、より安定した性能を発揮します。
常温で異なる荷重条件下での両ソリューションの性能を見ると、両者の間には明確な違いがあります。図1は、転がり軸受と4つの比較用滑り軸受の比較です。転がり軸受はトルクがかなり低く、滑り軸受はコスト削減が可能ですが、性能が大きく犠牲になっています。
図1:荷重変化に対するトルク性能比較
ノルグライドベアリングは、従来の滑り軸受の性能を大きく向上させます(およそ3~4倍)。一見すると、転がり軸受の方が性能的にははるかに優れているように見えます。
しかし、温度範囲が広がると、特に低温では、転がり軸受のトルクが大きく増加します(この現象は、図2に示すように、様々な設計の転がり軸受で確認することができます)。これをノルグライド・ストラットベアリングで見ると、温度範囲内で安定した性能を発揮しているのがわかります。
図2:温度変化に対するトルク性能比較
耐久性能を比較する場合、理想的な温度でのころがり軸受は、安定した性能を発揮します。しかし、従来の滑り軸受とノルグライド・サスペンションストラットベアリングの性能を比較すると、図3のようにノルグライドの寿命性能は向上し、異なる摺動スピードでもより安定したトルクを発揮することが分かります。
図3:摺動スピード変化に対するトルク性能と耐久性比較
ノルグライド・ストラットベアリングは、荷重、温度、寿命にわたって一貫した低トルク性能を得ることができます。
転がり軸受には、コストとサイズ、2つのデメリットがあります。転がり軸受は、従来の滑り軸受やノルグライドに比べて何倍もの厚みがあります。同程度の転がり軸受であれば、ノルグライド・ストラットベアリングを使用することで約80%の重量を削減することができます。
一般的な転がり軸受 | ノルグライド・ストラットベアリング |
転がり軸受は、経年劣化によるブリネリングや腐食の影響を受け、ラトル音が発生することがあります。ノルグライド・パッドは、厚いPTFE層がプラスチックに組み合わされているユニークな設計で、NVHを低減、あるいは除去するための減衰特性を備えています。さらに、ノルグライド・ストラットベアリングを構成するPTFE層がクリアランスゼロを実現し、転がり軸受とは異なり、製品寿命までクリアランスによるラトル音やノイズの発生を抑制します。これは、荷重の有無にかかわらず、部品がピタリとはまり、常に一定の圧縮状態になるように設計することで実現しました。
ノルグライド・ストラットベアリングは、ただ安定した低摩擦、ダウンサイジングや軽量化、NVHの低減に貢献するだけではありません。私たちの開発アプローチでは、エンジニア同士が密接に情報を共有し、協働します。つまり、お客様と一緒になって最適なソリューションを提供することができるのです。
最近のイノベーションについて、またエンジニアとの新しいソリューションの探求や、お客様の課題についてのご相談は、今すぐ弊社にご連絡ください。お問い合わせフォームをご利用いただくか、makingabigdifference@saint-gobain.com までメールでお問い合わせください。