2022年 07月 28日
スリーブベアリングは「シンプルで効果的」という言葉で言い表すことができるでしょう。摺動面と非摺動面の構成となっており、その役割はシンプルに2つの部品間での直線運動や回転運動を容易にするものだからです。
スリーブベアリングはブッシュ、プレーンベアリング、ジャーナルベアリングなどとも呼ばれます。ボールベアリングやローラーベアリングの転がりの動作とは異なり、スリーブベアリングはすべりの動作をし、一般的には自己潤滑性があり、スムーズな連続運転が可能です。
スリーブベアリングは、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れているだけでなく、比較的低コストでメンテナンスフリーなため、多くの産業・用途で使用されています。
一言で言えば、違いはありません。ブッシュとは、直線運動や回転運動を可能にするチューブやスリーブのことで、スリーブベアリングもまさにそれです。この2つの用語は、同じ意味で使うことができます。
スリーブベアリング、プレーンベアリング、ジャーナルベアリング、スライディングベアリングはブッシュのことで、用語はブッシングのスタイルを表しています。ブログ「ベアリングとブッシュについて」で説明しているように、ブッシュは常にベアリングですが、すべてのベアリングがブッシュというわけではありません。
スリーブベアリングとは、簡単に言えば、2つの部品間の動きをスムーズにし、摩擦や振動を低減するものです。また、高い耐荷重性能を持っており、さまざまな過酷な用途にも適しています。
堅牢なスリーブベアリングは、高負荷や高温にも対応することができ、驚くほどの低摩耗を実現しています。耐衝撃性も高く、アッセンブリ時の他の部品のミスアライメントや寸法公差を吸収することができます。
スリーブベアリングは、低摩擦であることに加え、小型・軽量で取り付けが容易、NVHの低減に貢献することができます。
スリーブベアリングは、非常に汎用性が高く、様々な用途に使用することができます。スリーブベアリングは、さまざまな種類の動きを容易にするために使用することができます:
軸受部に多く使用され、自動車産業、製造機械、白物家電などで幅広く使用されています。自動車産業では、ヒンジやシート調整機構、ステアリングラックガイドなどの回転/直線運動の用途で使用されており、ベルトテンショナーでは、高速微揺動運動にスリーブベアリングが使用されています。また、製造業では、リフトやチルト装置などの直線運動用として使用されています。
スリーブベアリングにはいくつかの基本的なタイプがあります。最も一般的なのはフランジ付きのブッシュで、アキシアル荷重とラジアル荷重を受けることができます。アキシアル荷重が大きい場合は、スラストワッシャーとストレートブッシュを組み合わせたものが良いでしょう。ラジアル荷重のみの場合は、シンプルなストレートブッシュを使用します。
ベアリングは、さまざまな素材から作られています。金属、バイメタル、セラミック、石、グラファイト、コンポジット、プラスチックなどです。スリーブベアリングの機能は、素材によって強度、弾性、摩擦係数などが決まるため、性能は材料の選択によって左右されます。
鋳造または焼結金属ブッシュは、硬いスチールシャフトに使用した場合、ハイドロダイナミック条件下で摩擦係数が低くなりますが、大きなガタツキがあるため、多くの用途で使用することができません。樹脂成形品は低コストで、様々な形状やサイズのものがありますが、樹脂製ベアリングには限界があります。詳細については「樹脂ブッシュから切り替えるべき5つの理由」をご覧ください。
一方、ノルグライドベアリングは、金属のバックメタルとPTFE層、タイプによって中間層を有し、自己潤滑性があります。厚いPTFE層やユニークな中間層を使用していることでしまりばめ条件下での使用しながらも、低摩擦を可能とし、ガタつきを排除することでノイズの発生原因から解決することができます。はめ合い部品の公差の最大値で、すきまばめになってしまう場合においても、振動を減衰することでノイズの発生を抑制します。
スリーブベアリングに自己潤滑性を持たせるためには、コンパウンド層を設ける必要があります。これにより、スムーズな動作が確保され、ベアリングの寿命が延びます。また、使用環境や摩擦、摩耗の観点から、潤滑剤の追加が有効な場合があります。このような場合には、ベアリングの表面に溝を追加することがあります。
ノルグライドベアリングは、使用条件によって使い分けのできる、様々な摺動層グレードを用意しており、グリスやオイルのような潤滑剤を必要としません。そのため、過酷な使用条件やさまざまな使用温度で信頼性の高い働きをします。
ノルグライドスリーブベアリングには多くの利点があります。独自の材料構成と組み合わせにより、エンジニアは特定の用途に最適な材料を選択することができます。さらに、厚いPTFE摺動層によるミスアライメント補正、安定した摩擦係数、NVHの低減など、細かな調整も可能です。バックメタルとして金属を選択すると、高い耐荷重性が得られ、必要に応じて耐腐食性を最適化することができます。また、適切なフィラーを選択することで、ベアリングの摺動材の電気伝導度を調整することができ、スペースが必要な場合は薄肉設計を採用することができます。サンゴバンのエンジニアは、このような様々な組み合わせにより、用途に応じた厳密な要求に応えるベアリングの設計を行うことができます。エンジニアが克服すべき技術的課題と、ノルグライドベアリングがもたらすメリットについての詳細は、「ノルグライドの特徴」をご覧ください
お客様の特定の用途に対して、どのようなベアリングを使用すればよいかわからない場合は、サンゴバンの専門家に相談してください。どのような材料をどのような条件で使用するかによって、動作性能や耐用年数が大きく変わります。私たちはお客様の用途や使用環境に基づいて様々なオプションについて話し合い、お客様の用途に合った最適なソリューションを提案します。