2021年 07月 01日
サンゴバンは50年以上の経験を持つ、すべり軸受とトレランスリングの開発・設計のエキスパートです。私たちのエンジニアリングコンポーネントは、お客様のエンジニアと一緒に、初期のコンセプト段階から生産プロセスや量産性を加味しながら開発をサポートしています。
新しい技術が次々と市場に投入される中で、製品開発の重要性がますます高まっています。新技術に適応できる素材を開発したり、製品の設計を変更したりと市場に合わせて常に変化していくことが必要です。
自動車市場では電気自動車が登場し、これまでの自動車から部品のレイアウトが大きく変わってきました。この変化によってパワートレインやシャシーだけでなく、エクステリアやインテリアにも新たな可能性が生まれてきました。
サンゴバンはお客様のエンジニアと協力して、自転車をはじめ、電動バイク、ロボット、産業機械、医療機器、住宅設備、発電所など、今日の製品に必要とされる様々なベアリングの設計・開発を行ってきました。
ユーザーの期待は常に高まっているため、継続的な技術開発はメーカーにとって欠かせないものとなっています。例えば静寂性に関する要求は近年さらに高まっており、ノイズのみに着目するのではなく、いかに効率的に振動を減衰したり、低摩擦をどのように実現していくかなど、関連する問題も含めてベアリングの材料や設計、使用条件を決定していく必要があります。また、電子制御化が進む中、製品の使い始めから寿命まで、どのようにして一貫して安定したフリクションを維持するかについても重要な要素となってきています。
サンゴバンは40年以上にわたり自動車のインテリア、エクステリア、ステアリングなどの軸受けに使用されているグローバルなベアリングサプライヤーです。サンゴバンが提供するソリューションには多くの革新的なデザインがあります。以下は、現在および将来のユニークなアプリケーションのために製造されているデザインの一部です。サンゴバンの設計能力と、幅広い業界で経験を積んだエンジニアが、お客様の最適な製品づくりをサポートします。ここではそのほんの一部をご紹介します。
フランジベアリング
プレス加工ベアリング
ステップフランジ
フラワーフランジ
テーパーベアリング
サンゴバンは、お客様のエンジニアと密接に協力しています。私たちは、お客様の製品、ベアリングに対する技術要求事項や使用環境、それに伴う課題やチャレンジを理解するために注意深く耳を傾けます。上の写真は、ノルグライドベアリングの様々なバリエーションを示しています。サイズや形状、導電性・非導電性など要望に応じて材質を自由に選択することができます。「フランジベアリング」は、非導電性コンパウンドを使用していますが、独自のノッチデザインによりブッシュ自体に導電性を持たせています。「ステップフランジ」は、アキシャル方向の公差に関連するガタつきやノイズの問題を克服することができます。「フラワーフランジ」は、大きな荷重を支えるなどの理由でフランジ面の表面積を大きくする必要がある用途に利用できるユニークなデザインです。「テーパーベアリング」は、ジョイントを分割したり、分解したりしなければならない場合に最適です。これにより、ベアリングのPTFEを損傷することなくジョイントを再装着することができ、再装着後も同じトルクを維持することができます。
ノルグライドベアリングは、お客様のニーズに合わせて100種類を超える材料バリエーションの中から最適なものを選択し、お客様のニーズに合った形状を提案することができます。サンゴバンは技術者同士の交流を大切にしたいと考えています。
クラウンリング
2列タイプ SV
タブリング
HVタイプ
SVL, 低トルク
SVタイプ
レンコール トレランスリングは、外周 / 内周方向に波形状のラジアルスプリングを持つ高機能部品締結リングです。2つの円筒状のはめ合い部品の約1mmと非常にわずかなすき間に挟まれ、圧縮された波は弾性 / 反発力 / 摩擦力を発生させ、部品の固定、公差や熱膨張の吸収、トルクリミッターの役割を果たします。お客様からの技術要求や使われ方に基づいて、カスタマイズされたソリューションを提案します。
上の写真のように、レンコールには様々なサイズや形状があります。その中には基本的なバリエーションであるHV(Housing Variable)型やSV(Shaft Variable)型も含まれます。HVリングの波はリングの内側に向いており、はじめにリングをハウジングに取り付け、その後シャフトを組み付けます。通常、ハウジングへの取り付け性を考慮し、リングは自由な状態で開いています。SVリングの場合はその逆で、リングの波は外側を向いており、はじめにリングをシャフトに取り付け、その後ハウジングを組み付けます。通常、シャフトへの取り付け性を考慮し、自由状態ではリングは閉じています。レンコールは材料の種類や板厚、硬度、「波」の形状や数量を設計することによって、アキシャルまたはラジアル方向の伝達トルクやトルクリミッターとして機能するトルク値を設計します。また、はめ合い部品の大きな公差やミスアライメントを克服し、NVHの問題を解消します。
レンコール トレランスリングは、お客様の固有のプロジェクト向けにカスタマイズされたソリューションを提案します。お客様の具体的な応用分野について、当社のエンジニアにご相談ください。お客様のご要望をお聞きして、最適なソリューションをご提案させていただきます。
フィンガーデザイン
スロットリブ
ウェーブデザイン
プッシュナット
スプリングライド エナジャイズドベアリングは、これまでの2つの製品群と同様に、お客様の用途やご要望に合わせて設計されています。この革新的な製品は、レンコール トレランスリングのばね技術と、ノルグライド ベアリングのPTFE技術を融合した、ユニークな高機能摺動材料です。ばねの公差・ミスアライメント吸収機能と、PTFEの高摺動性能が、「一貫した低フリクション」と「ガタつき・ノイズの低減」を両立します。
上の写真は、スプリングライドがどれほど多様な形状に製造できるかを示しています。「フィンガー」は、相手の部品との大きな隙間や公差を埋める必要があるアキシャル方向のスライド機構に使用できます。「スロットリブ」は、低い摺動力や回転トルクを制御したいアキシャル方向のスライドまたはラジアル方向の回転機構の用途向けに設計されています。「ウェーブデザイン」は、レンコール トレランスリングの技術を使用し、より高いレベルのトルクが必要な回転機構に使用できます。「プッシュナット」を含めたプレス形状では、サンゴバンの成型技術とPTFEの経験が生かされています。これにより、ユニークで革新的なソリューションを設計・開発することができ、多くの場合、お客様の製品の部品点数の削減、小型化、軽量化を実現するソリューションとして用いられています。
これらの例は、私たちサンゴバンが、様々な素材を用いて様々な形状を設計・製造できることを明確に示しています。これにより、私たちはお客様の個々のアプリケーションに対する最適なソリューションを提供し、さらにお客様の特定の課題を解決することができます。当社のエンジニアとお客様のエンジニア同士でコラボレーションすることで、お互いに理解を深め、学び合うことができます。私たちはお客様の声に耳を傾け、お客様のアプリケーションや直面している困難を理解します。これらを通じて、お客様のプロジェクトのためにカスタムデザインされた最高のソリューションを生み出すことができると信じています。
サンゴバンでは、アプリケーションエンジニアとテクニカルサポートスタッフのグローバルネットワークがあり、それを世界各地のR&Dセンターやアプリケーションテストセンターがサポートしています。これらの施設では、FEAや試験設備を使用して性能解析・実験、耐久性テストなどを行っています。長野県にある諏訪工場は、アプリケーションテストセンターと位置付けられ、これらを通じてお客様へのエンジニアリングサポートを行っています。
当社のエンジニアは、その豊富な経験と知識を活かし、軸受け部のみならずお客様の完成製品として最適な仕上がりとなるように共同で開発を行います。
ベアリングの設計が完了したのち、そのベアリングの性能を試すための試作品を製作するステップに移ります。製作される試作品は手作業で作られますが、基本的に量産時に使用される材料と同じ材料(量産材料を使用)で、量産工程と方法を考慮した工法で製作されます。このことから、製品の摺動特性や耐久性、耐腐食性能、NVHテストなど、開発時に検証されたテストデータや知見を高い信頼性のあるものとして活用することができます。
当社のエンジニアは、開発におけるすべての段階でエンジニア同士、お客様と一緒に作業を行い、知識だけでなく経験も共有します。これにより、適切なソリューションを適切な用途に適用することができます。
エンジニアリングとは、課題や問題解決に取り組むことです。私たちは、お客様との連携によってそうした問題を最善の方法で解決できると考えています。お客様が直面する課題を理解し、先進的な製品設計で理想的なソリューションを提供することを目指します。すべてのアプリケーションがそれぞれ固有の技術的要求を持っているため、サンゴバンはお客様と連携して試作品を作製し、その要求を完ぺきに満たす製品を作り上げていきます。当社の製品は、過酷な条件下であっても、素材やその他技術を使用した最高水準の性能を発揮し、製品全体のうれしさに貢献して、エンドユーザーの体験に明らかな違いをもたらします。
詳細については、makingabigdifference@saint-gobain.comもしくはコンタクトフォームまでお問い合わせください